2016年9月25日 (日)

「 風立ちぬ 」 原作本

こないだ書店で見つけて買いました。

「風立ちぬ 宮崎駿の妄想カムバック」

2016091805


3年前の宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」。
その原作コミックがようやく書籍化されてました。

もとは「モデルグラフィックス」というプラモデル雑誌に連載してた漫画。
水彩の色彩も美しいオールカラーだ。

2016091806


映画の「風立ちぬ」とは趣がだいぶ違って、宮崎駿の妄想のストーリーと、飛行機やメカマニアっぷりが炸裂のエッセイのようなものがいっしょくたになったような内容です。
面白いです。 登場の男がなぜか皆、「紅の豚」みたいに「豚の鼻」です。

公開時、映画評論家の町山智浩さんがラジオで「宮崎駿の妄想とメカマニアの映画」と解説してたけど、それを裏付ける一冊です。

2016年9月22日 (木)

 「怒り」 小説と映画

* ネタバレ注意! この記事では公開中の映画「怒り」の内容や結末に触れています。
   映画を鑑賞予定の方はご注意ください。

先週、13日に吉田修一の小説「怒り」の上下巻(中公文庫)、合わせて2冊を買った。

9月17日の映画公開直前で通常の装丁の上に、映画仕様のカバーがかぶせてある。
ブックファーストでは、「怒り」1冊購入につき1枚、映画出演者の「栞」をプレゼントという企画でした。 主要キャスト、渡辺謙、森山未来、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、宮崎あおい、妻夫木聡の7枚から、2冊分で2枚選べると。
「期間限定だったら、上下同時購入で7枚くれたっていいじゃん」と言いそうになったが、そこはのみこんで「では、『宮崎あおい』と『広瀬すず』のをください」。

2016091802


5日ほどで一気に読み切った。映画を観る前だが読みながら出演者それぞれが脳内で動きだし、映像が再生される感じだ。 その時点で、このキャスティングはほぼ完璧だと。

                           ・

物語 : ある夏の日、八王子で若い夫婦が惨殺され、現場には「怒」という血文字が残されていた。犯人は顔を整形して逃亡を続ける。 そして事件から一年後、千葉と東京、沖縄の離島に素性と過去の知れない3人の男が現れた。

                           ・

たぶん原作者の吉田修一はこの小説の発想の元になったのは、千葉で起こった英国人の英語教師の殺害、逃亡のあの「市橋達也事件」じゃないだろうか。 犯人が顔を整形して逃亡していること、それから沖縄の離島に身を潜めていたこと。 そう思って読んでいたら、映画のパンフレットの談話で吉田さん本人がそれを明かしていました。 それで「やっぱ犯人は沖縄の離島かなあ」と上巻読んでるときから思ってたんだけど。

                           ・

千葉と東京と沖縄、それから事件を追う2人の刑事。 彼らの物語がだいたい15ページくらいの短い章ごとに交互に進んでいく。 この構成の読みやすさもあって、電車の移動時間のほぼすべてを使って読んだ。ぐいぐい読ませます。面白い。

                           ・

3つの土地で展開される物語にはそれぞれ関連もない。犯人は下巻で明らかになるが(予想どおりだった)、最初の「八王子夫婦殺害」の行動の動機がよくわかんないままだ。
いや、そもそも衝撃的は血文字の「怒」の意味がわからん。 、、て、私が人並み外れてバカなだけでしょうか?

この作品の胆(キモ)は実は「犯人捜し」だけではなくて、その3人の男と出逢った、人達の猜疑心。 信と不信。 そして愛する人を信じきれなかった、裏切ってしまった自分自身への「怒り」。 それから信じていた人に裏切られた、殺すほどの「怒り」。。
、、、う~んでも犯人については、「怒」は映像が浮かぶほどのインパクトなだけに消化不良だわ。

                           
2016091801


で、映画。 NHKの大河ドラマと朝ドラの主役経験者をずらりと並べたような、贅沢なキャスト。 ギャラの総額どのくらいなんでしょうね。どうでもいいけど。

千葉編の元風俗嬢の「愛子」役の宮崎あおいは、原作の「愛子」が「ぽっちゃり」のせいか役作りで7キロ(!)増量したそうだ、、ってそれでも細いだろ、と。 いや増量とかルックスが原作と違うとかよりも、この役は宮崎あおいしかないわ。見事でした。 原作のこの場面、「女の泣き声は尋常ではなかった。人間がここまで泣けるのかと思えるほど凄まじいものだった」。 千葉編の謎の男、松山ケンイチ演じる「田代」。作品のなかでは「田代」は偽名だが、僕は同姓なのでこいつが犯人でなければいいのに、と思ってたのでほっとした。

愛子「田代くんといっしょに暮らしたいの」、、、妄想するバカな俺を叱ってくれい。

2016092201


ひとことで言うと「充分満足ではないが、心に残る映画」。

原作のすべてを再現できるのは無理としても、何人かの人物が省略されていたり、エピソードのいくつかはカットされていて、やや展開に唐突感は否めない。とくに沖縄編。

それでもこの映画を、最近小説の原作ものの映画でやたら多い「前後編の2本観なきゃなんない」ものにしないで、ギュッと1本にしたのは僕的には高評価です。
ランニングタイムの都合とはいえ、2時間20分ほどにまとめたのは、きっとカットしたシーンもたくさんあったんだろうな、と思ったら、最初に完成させたのは「4時間」だったそうだ。
その「4時間ヴァージョン」が観てみたい。 「怒り 完全版」とかDVD化しないですかね。

原作と違って、ひとつのメインテーマのなかで、次々に3つの場面が切り替わるカットはいい。 「怒り」からのそれぞれ。「悲しみ」「希望」「絶望」「失意」からの「慟哭」。

ラストは沖縄の砂浜での、すべてを知った「泉」(広瀬すず)の絶叫で終わる。

実は原作の小説だとその後にエピローグ的な章があるのだけれど、そこをバッサリ切ってしまうのが、なんというか映画的。 
穏やかな最終章までいれるのは、なんとなく2時間ドラマっぱいラストかなー、とか思いました。

                          ・

ところで、「日本で一番悪い奴ら」といい、「シン・ゴジラ」といい最近僕が観る邦画にはなんだかみんなピエール瀧が出ているな。 「瀧に呼ばれている状態」だ。

ピエール瀧の草野球チームの名前は「ピエール学園」というそうです。 関係ない。。

2016年9月13日 (火)

虹色のトロツキー

「機動戦士ガンダム」(、、いわゆるファースト・ガンダム)のキャラクターデザインを務めた
安彦良和氏は自身の原作コミックの「アリオン」の劇場版以降、アニメーションから遠ざかり漫画家として活躍していた。

安彦良和の漫画は神話や歴史を題材にしたものが多く、デビュー作の「アリオン」はギリシャ神話の世界、それから「我が名はネロ」、古事記から「ナムジ 大國王」「神武」「蚤の王 野見宿禰」、など。
圧倒的な画力と大河的なストーリー展開の安彦漫画。 
「アリオン」の最初のシーン、幼い主人公が遠景から駆けてきて、徐々にアップになる映像的なコマ割りや、白黒の闇と光のダイナミックな画面などは、アニメーター出身ゆえか。

「虹色のトロツキー」は昭和13年、中国大陸が舞台。 日本の軍人と蒙古人の母との間に生まれた青年「ウムボルト」の目を通して描かれる第二次世界大戦突入直前の大陸を描く全8巻の大作です。

2016081607


安彦良和氏はこの作品を描くにあたって、相当取材を重ねたようだ。
昭和10年代を生きた実在の人物が続々登場、実際の事件も描かれているが、主人公にまつわるストーリーはあくまでもフィクション。
「魔都上海」に到着した6巻では、あるパーティーで「李香蘭」と出会う。 この場面だけの登場だけど、表紙イラストにもなっている。いまさらながら「山口淑子」って、波乱万丈の生涯だったんだなあ、と思う。

父母の死の真相を辿りながらも、満州国軍に戻ったウムボルトは、「ノモンハン」に向かう。
昭和14年、満州とモンゴルの国境紛争が、日本とソ連の軍事衝突に発展した「ノモンハン事件」。これをラスト7、8巻に渡って詳細に描いている。 あまり耳馴染みのないかもしれないがこの「ノモンハン」にグッと括目して、見入ってしまう。

                           ・

ノモンハン事件。 これにはちょっとだけ僕個人にも関係している。

昭和14年に生まれ、平成元年に50歳で亡くなった僕の父は父親のいない私生児として生まれた。 「田代」というのは祖母の実家だ。
父が亡くなったあと、祖母はその人は満州に赴任して、ノモンハンで戦死した軍人だと打ち明けた。僕の父は生涯、自分の父親の名前も顔も知らなかったらしい。 知りたくないはずがないだろうと思ったが。
安彦良和が描いたより、実際の戦場はもっと過酷だったのかもしれない。

物語のラスト、生き残った主人公は自分の子を宿した女性のもとに向かおうとしながらも、戦場で力尽き、倒れてしまう。 これはいかん、涙腺決壊。 その場面に自分の祖父にあたる人の姿をみるようだった。

                          

 

 秋月展

 秋月展  

 9/10(土)~9/19(月・祝)  11:00~18:00 ( 9/19は17時まで)

 Art Gallery 山手  http://www.art-g-yamate.com

2016091105


、、という展示に銅版画を3点ほどですが、こっそり出品しています。

おヒマがありましたら、どうぞ。

2016091104



2016091101

「月と狼」。 なんかベタなモチーフですまねえ。

今月になってすぐに、親戚の葬儀で新潟に行き、3日ずれたぶん出品も予定どおりにならなかった。 
、、、ええ、言い訳です。 普通の人は1週間くらい前には、全部出来てるものだと思います。 搬入当日までじたばたしているのはきっと僕くらいだ。

これは搬入に持って行ったけれど、やっぱり中途半端感。 今回だすのはやめた。

なんでドードーに猫が乗ってるのか。 いきあたりばったりで描くからこうなる。

来年くらいにどこかで出せればいいけれど。

2016091103


2016年8月28日 (日)

小国とヤンセン・もりそば

先日、神保町の老舗画材店「文房堂」に行った。
、、が、目当ての道具は品切れ、というか廃番で製造中止! 残念。

せっかく神保町に来たのだから、古本屋を見て歩く。

、、!いいもの見つけちゃいました、、

 「小国とホルスト・ヤンセン 1993年~1997年」 (限定200部・No.28)

新潟県小国町の小国芸術村で毎年メインイベントとして開催されていたホルスト・ヤンセン展の5年分の展示を1冊にまとめたカタログ。

2016082803_2


200部限定なのに¥1500だった。 安い。

このカタログ、文京区の和紙店「紙舗 直」が関わってるためか、紙質がよく、印刷もきれいで単色の作品もオールカラー。 そしてすべての作品の紙の種類と版画技法が記してある。
マニアはこういうとこが気になるのだ。

2016082804

ヤンセンは「直」が送り続けた和紙に版画を刷っていた。

2016082806


展示は時系列に沿っているわけではなく、毎年テーマごとに選ばれていたようだ。

あらためてヤンセンの狂気じみた制作とその分量に圧倒される。

                         ・

神保町の古本街にくるとやっぱり立ち寄ってしまう。

2016082802


絶品もりそば¥280、って「富士そば」より「箱根そば」より安くて、そして美味いです。

2016082801_2

 画本 宮澤賢治 「銀河鉄道の夜」 

8月27日は宮澤賢治の誕生日です。 今年は生誕120年らしいです。

先日11日に日比谷野音でのSIONのライブに行ったときに、すぐ近くの日比谷図書文化館でイラストレーターでデザイナーの小林俊也さんが手掛けた賢治童話のシリーズの展示があり、ちょうどいいタイミングだったので立ち寄った。

小林俊也のライフワークともいえる「画本 宮澤賢治」は当初「パロル舎」という出版社から出たのだが、そのパロル舎が2011年に倒産。 
そして現在「画本 宮澤賢治」シリーズは「好学社」が引き継いで出版されている。

なので、同じタイトル、同じ内容、同じイラストの本が「パロル舎」版と「好学社」版の2種類がある。 会場ショップでは本の販売もあったので、入手難になるかもしれない「パロル舎」の「銀河鉄道の夜」を買った。

2016081202


「銀河鉄道」は賢治童話のなかでも長いものなので、ページ数も多く値段も他の作品よりやや高い(¥1900)。 ちなみに好学社版は¥2300だった。
しかし、ほぼすべてのページにスクラッチ(引っ掻き)技法で描かれた絵が単色でもカラーで印刷されていて、絵と文字の配置バランスも、ページ毎に違う紙の色の選択も見事!

鉱物を愛した宮澤賢治に合った、硬質なイメージの大人の鑑賞に見合った絵本です。

日比谷図書文化館では、まだ販売してるらしいので、興味あるかたは問い合わせてみてください。

                           ・

ところで、パロル舎が倒産していたなんて昨年まで知らなかった。

コレクションしていたわけじゃないのに、気がついたらパロル舎の本は数年前からけっこう買っていました。 

これは一部。

2016082201

出久根育さんが挿絵を描いた「グリム童話・おかしな兄弟たち」もパロルだ。

いい本が多かったのにいまさらながら残念だなあ。。

手元にある本は大事にしようと思う。



2016年7月23日 (土)

赤い靴

 第9回 横浜 山手の坂道と風景展 Part2 7月22日(金)~31日(日)

  Art Gallery 山手  http://art-g-yamate.com

2016072001_4


ここ何年か参加させていただいている、この企画。 昨日から7月31日までです。

アクセサリーなど20数点出品してます。 お近くまでお越しの方はお立ち寄りくださいませ。

                           ・

 「 赤い靴 」

2016072003


♪ 赤い靴 はいてた 女の子  異人さんに つれられて 行っちゃった

 横浜の 埠頭(はとば)から 汽船(ふね)に乗って 異人さんに つれられて 行っちゃった

2016072201

ノンフィクション作家の沢木耕太郎さんは、幼いころから疑いなく「異人さん」という一節を、
「良い爺さん」と思いこんでいたそうだ。
 
「だから、この歌がどうして哀しげな調べをもっているのか理解できなかった。親切で優しいおじいさんに連れられていくならいいではないか、と。 
『良い爺さん』が『異人さん』だと知ったときにはさすがに驚いた。」とエッセイに書いている。

 横浜 山下公園の「赤い靴の少女像」

2016072102

この童謡にはモデルになった女の子がいたが、じつは異人さんと外国には行っていなかったそうです。 佐野きみ (1902-1911)という、わずか9歳で亡くなった女の子がモデルというのが定説。
満3歳のときに親の事情で、アメリカ人宣教師負夫妻の養女になった。
やがて夫妻が本国に帰国することなったが、その時「きみちゃん」は結核にかかっていて、
アメリカに連れて行くことができずに、東京・麻布の孤児院に預けられる。 
「きみちゃん」の立場にしてみれば2度も親に捨てられたことになるわけで、かわいそうすぎます。 
ただ実の母親は、娘のきみは宣教師と一緒にアメリカに渡ったものと思い込んでいて、東京の孤児院で亡くなったことは知らないままだった。
その話を直接きみの母親から聞かされた野口雨情が1921年に作詞したのが「赤い靴」、
というのが、定説ということになっている。 細かな部分で異論はあるらしいけれども。

                           ・

山下公園の「赤い靴はいてた女の子の像」は純粋に野口雨情の詩をモチーフにしたもので
、そのミニチュア版が横浜駅自由通路のちょうど真ん中あたりにあります。
こちらは小さすぎるせいか、気がつく人はあまりいないかもしれないが。

事実に基づく「きみちゃん像」が孤児院のあった麻布十番にあるそうです。
これは見たことないが、冬になると誰かがマフラーや帽子をかけてくれるというのが微笑ましいです。 





2016年6月25日 (土)

FAKE

映画 「 FAKE 」  2016年  監督・撮影 森達也

                                 www.fakemovie.jp

2016062310

「FAKE」を先週18日、新百合ヶ丘での初日に観た。

この映画、先に公開された渋谷のユーロスペースでは連日大ヒットしているらしい。

僕がしんゆりで観たときも満席だった。

2016062311

この映画はあの「偽造の作曲家」佐村河内守氏についてのドキュメンタリー映画。

映画のほとんどのシーンが佐村河内さんの自宅の室内でカメラを廻して、本人に直接取材をしている。
たぶん、佐村河内氏がこれほど長時間にわたって取材を受けている映像は他にない。

ゴーストライターをやってた新垣隆氏の告発のあと、髪をすっきり切って一度だけ記者会見をして以来、人前には出てないけど、、 ずいぶん髪も伸びてまた元の(というのもどうかと思うが)佐村河内さんになってる。

会話は基本、森達也がインタビューする内容を佐村河内さんの奥さんが、声で話しながら手話通訳して、それに対して佐村河内氏が声で話して答える。 
それを観ながら、やっぱり変だよ、その発声は聴覚障碍者のものじゃないでしょうよ、、って疑いながら観ている。

ほぼ室内のシーンばかりではあるけれども、何組かの来訪者との会話もそのまま収録している。たとえば年末の番組の出演依頼をもちかけるテレビ関係者。 
彼らは真摯な言葉で出演依頼をするが、佐村河内さんはそれを結局断る。 で、代わりに出演したのが、あの新垣隆さん。 「おぎやはぎ」が司会の番組で、やたらいじられている新垣さんと、そのテレビをみている佐村河内夫妻。。
ファッション雑誌の、ブランド服を着てポーズをきめている新垣さんの写真をなんともいえないような表情でみる佐村河内氏。 。

、、たぶん笑わせようとしてないんだと思うけど、なんか可笑しい。 なんか滑稽。ここ笑っていいのかなー、と思ったんだけど。
上映中、何度も笑いに包まれていた。

来訪者がくると、佐村河内さんの奥さんは必ず人数分のショートケーキを出す。
何度もショートケーキでおもてなし。

それから、何度もアップになる佐村河内さんちの猫。 
客人を品定めするような、蒼い目。 
映画も終盤になると、おなか見せて寝っころがって、、だいぶリラックスしとるね。

佐村河内守とはいったい何なのか。 なぜ新垣隆は森達也の取材を断ったのか。

やがて「話してはいけない、衝撃のラスト12分」に突入する。
ほろっと感動してしまった観客、 それを壊すかのような森達也の最後の質問。
、、 佐村河内氏がそれに答えようとするところで、、 
     え~!ここで終わりますか!?

FAKE ・・・ 偽造。 見せかけ。  この映画にも真実と、仕掛け、やらせがたぶんある。

2016年6月11日 (土)

森羅万象を刻む - デューラーから柄澤齋へ

先日、町田市立国際版画美術館で6月19日まで開催されている「 森羅万象を刻む デューラーから柄澤齋へ 」を観てきた。

                                   http://hanga-museum.jp/

2016060701

2月に日本橋の不忍画廊で「ビュランに捧ぐ 渡辺千尋と門坂流 展」を観てきたけど、この「森羅万象を刻む」も同じく「ビュラン」と呼ばれる版画用の彫刻刀で刻まれた版画作品の、いわば「歴史」を辿る展示になっている。

  これは僕のビュラン。 まず刃先を鋭利に砥げなければ、道具にならないです。

2016060702

展覧会では銅版画(エングレーヴィング)だけでなく、木口木版画の作品も多数展示されています。 「木口木版」は堅い木を「輪切り」にした断面に線を彫る版画です。 木を縦に切った「板目」より目が詰まっているので細かい表現が可能なのです。
木口木版では、僕がファンである柄澤齋さん、彼に影響を与えた日和崎尊夫の作品を展示されている。

ほとんどの作品が黒一色のモノクロ作品。 ま、はっきり言って地味な展覧会ではある。

銅版画は凹版なので彫った線が黒くなる。
木口木版は凸版だから彫った線が白い。

どちらにしてもその「線」はまさにまさに「超絶技巧」。

展示室に入る受付でルーペを借りた(もちろん無料)。 
作品の全体を観てから、その線をルーペで拡大しつつ追っていくと、膨大な手間と時間に頭がくらくらしてくるわ。

                           ・

1点、不思議な作品を紹介しよう。

 クロード・メラン 「聖顔」 1649年

2016060901

布にイエスの顔が現れたという、聖書の元ネタはさておき、この作品をさらに拡大すると、、

2016060902

マジか!、、、
! ! ? この作品は螺旋状に刻まれた「1本の線」の強弱だけで描かれている、、! !

こんなことが出来るのか?  あれこれ制作手順を想像してみた。

ビュランの刃先は常に一方向を向いているので、曲線は版のほうを動かして刻む。
この木の年輪より多いかもしれない線を刻むのに銅板をどのくらいクルクル廻したんだろう、とかしょうもないことに頭を巡らしてしまった。

「森羅万象を刻む」はあと1週間。 6月19日(日)まで。

2016年6月 5日 (日)

 国芳・国貞 展 

6月3日(金)、渋谷 Bunkamura ザ・ミュージアムに「俺たちの国芳 わたしの国貞」を
観にいった。

2016060508


大盛況のため会期最後の1週間は5月30日(月)から6月2日(木)が20時閉館。6月3日(金)と4日は21時まで、となっていた。 さすが、映画館や、オーチャードホール、シアターコクーンも運営してるBunkamura 、こういうとこは臨機応変だね。

しかし会期2日前。 すごく混雑していた。これほどとは!

しばらく前にチケット販売サイトのイープラスからこの「くにくに展」の「プレミアム内覧会」のお知らせが届いた。それは平日の一般開館が終了したあとの19時半くらいにあらかじめ予約していた会員だけが入館できてゆっくり鑑賞できるという企画だったのだが、その代金が限定グッズ(たしか皿だった)込みで¥3500というだいぶ高額だったため見送った。
けれど、あの人だかりを見て「やっぱプレミアムで観た方がよかったか、、」と後悔した。

ほんとは先日熱狂のうちに終わった東京都美術館の「伊藤若冲展」とかもそういう企画してくれればいいのに、と思う。 「若冲のプレミアム内覧会」とかあったら私は¥5000でも行くぞ。

2016060505


なにしろ「歌川国芳」。 発想の豊かさ、斬新な構図と色彩。

僕は特に、国芳の躍動感みなぎる「武者絵」が大好きだ。

人が多くて疲れたけど、それでも観てよかったと思うわ。

展覧会グッズの売り場の会計が長蛇の列だった。
唯一欲しかった「髑髏柄の手ぬぐい」は売り切れだったので何も買わなかった。

これは2011年12月、「森アーツセンター」での「没後150年 歌川国芳 展」の図録。

2016060504

この1冊は国芳だけで作品点数が多く、印刷のきれいで気に入っている。

やっぱり、国芳かっこええ!

                         ・

渋谷Bunkamura ザ・ミュージアムでは来年2月23日から「河鍋暁斎 展」がありますね。
これも見逃せない。

« 高島野十郎 展 -光と闇、魂の軌跡

最近のトラックバック

2016年9月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
無料ブログはココログ