once ダブリンの街角で
映画 「 once ダブリンの街角で 」 2006年 アイルランド映画 (原題 :ONCE)
監督・脚本:ジョン・カーニー 出演:グレン・ハンザード マルケタ・イルグロヴァ
「 ONCE 」、大作映画のようなクライマックスは無いけれど、いい映画です。
たぶん日本公開の2007年に劇場で観て、それからDVDになってからも10回以上観ている。
映画の公開当時、今では廃刊になってしまったエンタメ情報誌「ぴあ」がまだ隔週くらいのペースで発行されてて、
展覧会や映画を観にいくのにけっこう重宝していた。
「ぴあ」にはよくよく見ると、限定のお得情報なんかが載っていて、この「once ダブリンの街角で」のときは
渋谷の上映館(名前忘れたけど、Bunkamuraの前のミニシアター)で
「チケット購入時にクリスマスソングを歌うと¥500割引き」というものだった。。 もちろん歌いましたよ。
「 once ダブリンの街角で、を1枚。 え~と 、クリスマスソング歌います!」
「はい、どうぞ」
「 ♪ 雨は夜更け過ぎに~ 雪へと変わるだろう~ ♪ 」 山下達郎の「クリスマスイブ」歌いました。
「 ♪ きっと君は来ない~ 一人きりのクリスマスイブ~ ♪」のあたりまで歌ったところで
「はい、結構です」と受付の方が言って無事割引してもらえたんだけど、ワンコーラスくらいは歌う気満々でした。
、、、でもその割引事情を知らずに僕の後ろに並んでた人は
「何、この馬鹿いきなり歌いだしてんだ!? 大丈夫か?」とか思ってたんじゃないだろうか。
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story : ダブリンの街角で、穴のあいたボロボロのギターをかき鳴らしながら、思いのたけを歌う「男」がいる。
そこへ、花売りと家政婦で生計を立てている、チェコからの移民の「女」が現れる。
男は女の執拗な質問に辟易しながらも、彼女のピアノの腕を見込んで、一緒に演奏しないかと持ち掛ける。
他のバンドメンバーも集めてCDのレコーディングにこぎつけるのだが、、別々の道へ。
誰もが想像するような、ハッピーエンドではないけれど、とても後味のいい物語だった。
主人公2人は俳優でなく、もともとプロのミュージシャン。
劇中の音楽の多くを占める生演奏、生歌が主人公たちの感情、心情を代弁しているようだ。
と言っても「ミュージカル映画」みたいに登場人物が唐突に歌い、踊りだすものではなく、とても自然だ。
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この映画は主要人物の多くに名前がない。
それはたぶん「ONCE」というタイトルとも関係していて、
誰にでもある「かつて」の人生を投影できるということなのかもしれない。
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僕の知る人にこの映画を観て感動のあまり、ギターを買って歌いだした女性がいる。
その後どうしているかはしらんけど。
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ジョン・カーニー監督にはこの「ONCE」のあと、2013年に「はじまりのうた BEGIN AGEIN」、
2015年に「シング・ストリート 未来へのうた」。
「シング・ストリート」だけパンフレットがLPサイズに近いくらいでかくて正方形で、扱いと保管に困るが。
これらを音楽映画の3部作としてもこの1作目。
低予算感満載とかいう意見があっても「ONCE」。何度観てもすばらしいです。
追記:「男」に修理してもらう掃除機を室内のように転がしながらダブリンの街を歩くシーンが可笑しくて良い。
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