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2015年2月 1日 (日)

 悪童日記

映画 「悪童日記」  2013年 ドイツ・ハンガリー合作  監督: ヤーノシュ・サース

  www.akudou-movie.com

ハンガリー出身の亡命作家アゴタ・クリストフの同名小説を映画化。

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この映画を観て、映像室からロビーに出ると、スタッフの男性が声をかけてきて、

「つかぬことを伺いますが、上映中に何か不手際などありましたか?」

 「いやいや、何も問題なかったけど、何で?」

訊けば、最初に映像室から出てきたお客さんに「アホ!」と捨て台詞を言われたらしい。

 
 

 「、、、う~ん、それがあなたに対して言った言葉だとは思わないけど。
  考えられるのは、ちょっと内容がショッキングなところもある映画だったから、想像していた
  ものとあまりに違ったら、人によっては嫌悪感を抱く人もいるかもしれないですね。
  そういうお客さんもいるほど、強烈な作品だということだと思いますよ。
   でも、僕はいい映画だと思ったし、映写中のミスは何もなかったです。
  気にすることはないですよ。」

、、、それよりも僕はそのスタッフさんの不健康にみえる顔色のほうが前から気になっていたんだけど。 「肝臓とか悪くしてないですか?」なんて訊けないが。

                     ・

それはそうと、この映画「悪童日記」、観る人によってはなかなかに衝撃かもしんない。

戦時中に祖母の家に疎開させられた双子の少年が主人公。
、、、この映画は主人公も含めて、登場人物のすべてに名前がない。

大人たちの不条理な現実を目の当たりにした彼らは、生き抜くために互いを強く鍛えることを始める。

気絶しそうになるまで、互いをベルトで打ったり、空腹に耐えるために4日間、絶食したりと
最初は滑稽にすらみえるのだが、母を忘れるために手紙を燃やすあたりから、しだいに「感情」を失っていく。 
戦時下の被害者であるだけでなく、加害者にもなってしまうという、けっこうキツイ内容だ。

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とにかく、善悪も倫理も超えて、双子は生き抜く。

母が死に、祖母が死に、父が目の前で地雷で吹っ飛んでも、文字通りにそれを乗り越えて「最大の試練」を自らに課して、生きる。

残酷な描写も多いので、賛否が分かれるところだろうけど、、僕はこの映画、好きです。

                         ・

ここまで書いてふと思ったのだけど「名前が無い」、「異常な状況下で少年が感情を失っていく」という主題は浦沢直樹の傑作コミック「MONSTER」とも通じるところがあるような気がする。ただ「MONSTER」は東独政府管理下の孤児院のプログラムで少年達が感情を失っていくのに対して、「悪童日記」の双子は自らの意志で、自分たちを鍛えるため、律するため、邪悪な人間に罰を与えるためにそうなっていくということか。

                         ・

この映画のパンフレットは新百合ヶ丘で品切れだったので、後日、横浜のミニシアター「ジャック&ベティ」の通販で取り寄せた。

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表紙の色は劇中に登場する「日記」の装丁を模したもの。

解説、インタビュー、キャスト、原作者プロフィール記事もきちっとまとめられた、いい内容だった。

、、映画のパンフなんて「買うんじゃなかった」と思うようなしょぼいものも結構多いからな、

 

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