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2015年12月16日 (水)

黄金のアデーレ 

映画 「黄金のアデーレ 名画の帰還」 

原題 WOMAN IN GOLD      2015年 アメリカ・イギリス映画

監督:サイモン・カーティス 

出演: ヘレン・ミレン  ライアン・レイノルズ  ダニエル・ブリュール  ケイティ・ホームズ

「グスタフ・クリムト(1862~1918)」という画家は、それほど絵画に興味がない方にしてみれば、聞き覚えのない名前かもしれない。
実をいうと僕も「クリムト」自身の作品と本人よりも「エゴン・シーレ(1890~1918)」の先生としての認識で、自分のなかでは「重要人物」という扱いではないのだが。
クリムトとその周辺の芸術家をひとくくりに「ウィーン世紀末」と言ったりします。

ウィーンの上流階級の肖像画を多く手掛けたクリムト。
その作品は金箔を使ったり、過度に思えるほどの装飾性で、このようにやたらゴージャス。

2015112901_2



「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像」。 
この絵画が映画「黄金のアデーレ」の主役でもある。

物語:第二次世界大戦のさなかに、ナチスによって強奪された美術品の多くは戦後オーストリア政府の所有となっていた。戦時中アメリカに亡命していたマリア・アルトマン(ヘレン・ミレン)は故郷のオーストリア政府に「伯母の肖像画(アデーレの肖像)を本来の所有者である自分に返してほしい」という裁判をおこす。
共に闘う弁護士はまだ駆け出しのランディ・シェーンベルク(何と作曲家シェーンベルクの孫)。
ランディと共にマリアは二度と戻る気のなかったウィーンに過去と向き合う旅に出る、、、

、、、ものすごくざっくりと、このようなストーリーです。

3年の歳月をかけて1907年に完成したした「アデーレの肖像」。
モデルのアデーレ亡きあと、オーストリアを占拠したナチスにこの絵が奪われたのが1938年。その年にマリアは夫とアメリカに亡命。
美術品返還審理を却下されたあと、オーストリア政府に訴訟を起こすのが2000年、マリア84歳。
そしてウィーンの調停にて返還判定を勝ち取ったのが2006年。
2011年にマリア94歳で永眠。 「アデーレ」は現在ニューヨークのノイエ・ギャラリーに展示されている。

、、、クリムトの名画に現代まで繋がるこのような数奇な運命があったとは、、、!

おそらく、当初のマリアはウィーンから本当に伯母の肖像画をアメリカに持ち帰るつもりはなかったのかもしれない。 たぶん、ただそれがウィーンの美術館にあることが不当だと、オーストリア政府に認めさせれば、それでよかったのかもしれない。

映画のラスト。 ウィーンでの裁判で勝利したあと、マリアはかつて住居だった建物の中に入る。そして、1937年の自身の結婚式の幻影の中に入っていく、このシーン。  ぞくぞくするほど感動した。 、、それでも彼女の過去は取り戻せないとしても。

                            ・

戦時下のナチスの美術品強奪、と奪還、返却というテーマは、僕の中で1月公開の映画「ミケランジェロ・プロジェクト」に繋がっていきます。

 

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