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2016年9月13日 (火)

虹色のトロツキー

「機動戦士ガンダム」(、、いわゆるファースト・ガンダム)のキャラクターデザインを務めた
安彦良和氏は自身の原作コミックの「アリオン」の劇場版以降、アニメーションから遠ざかり漫画家として活躍していた。

安彦良和の漫画は神話や歴史を題材にしたものが多く、デビュー作の「アリオン」はギリシャ神話の世界、それから「我が名はネロ」、古事記から「ナムジ 大國王」「神武」「蚤の王 野見宿禰」、など。
圧倒的な画力と大河的なストーリー展開の安彦漫画。 
「アリオン」の最初のシーン、幼い主人公が遠景から駆けてきて、徐々にアップになる映像的なコマ割りや、白黒の闇と光のダイナミックな画面などは、アニメーター出身ゆえか。

「虹色のトロツキー」は昭和13年、中国大陸が舞台。 日本の軍人と蒙古人の母との間に生まれた青年「ウムボルト」の目を通して描かれる第二次世界大戦突入直前の大陸を描く全8巻の大作です。

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安彦良和氏はこの作品を描くにあたって、相当取材を重ねたようだ。
昭和10年代を生きた実在の人物が続々登場、実際の事件も描かれているが、主人公にまつわるストーリーはあくまでもフィクション。
「魔都上海」に到着した6巻では、あるパーティーで「李香蘭」と出会う。 この場面だけの登場だけど、表紙イラストにもなっている。いまさらながら「山口淑子」って、波乱万丈の生涯だったんだなあ、と思う。

父母の死の真相を辿りながらも、満州国軍に戻ったウムボルトは、「ノモンハン」に向かう。
昭和14年、満州とモンゴルの国境紛争が、日本とソ連の軍事衝突に発展した「ノモンハン事件」。これをラスト7、8巻に渡って詳細に描いている。 あまり耳馴染みのないかもしれないがこの「ノモンハン」にグッと括目して、見入ってしまう。

                           ・

ノモンハン事件。 これにはちょっとだけ僕個人にも関係している。

昭和14年に生まれ、平成元年に50歳で亡くなった僕の父は父親のいない私生児として生まれた。 「田代」というのは祖母の実家だ。
父が亡くなったあと、祖母はその人は満州に赴任して、ノモンハンで戦死した軍人だと打ち明けた。僕の父は生涯、自分の父親の名前も顔も知らなかったらしい。 知りたくないはずがないだろうと思ったが。
安彦良和が描いたより、実際の戦場はもっと過酷だったのかもしれない。

物語のラスト、生き残った主人公は自分の子を宿した女性のもとに向かおうとしながらも、戦場で力尽き、倒れてしまう。 これはいかん、涙腺決壊。 その場面に自分の祖父にあたる人の姿をみるようだった。

                          

 

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