映画

2017年11月23日 (木)

 ギルバート・グレイプ

映画 「 ギルバート・グレイプ 」 1993年 アメリカ映画

監督 : ラッセ・ハルストレム

出演 : ジョニー・デップ、レオナルド・ディカプリオ、ジュリエット・ルイス

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この映画は20年近くまえに、友達に教えてもらって以来、VHSテープ、DVDでたぶん15回くらいは観ている。 スクリーンで観たことはない
パンフレットは初めて観てから、たぶん2,3年後に神保町の古書店でたまたま見つけた。
44ページもあって、巻末にシナリオ採録も載っていて、なかなかの充実度。

ジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオの共演作。 たぶんほかにないんじゃなかろうか。

この作品でジョニー・デップは主人公のギルバート・ブレイクを演じている。
舞台はアメリカ、アイオワ州の田舎町「エンドーラ」。 「音楽 のないダンスのような町」とギルバートは言う。
「10歳まで生きられない」と医者に宣告された知的障害のある弟、アーニー(レオナルド・ディカプリオ)は、もうすぐ18歳になる。
父親が17年前に首吊り自殺でこの世を去ってから、母親は自宅のソファで一日中テレビを見ながら食べ続け、脅威的に太ってしまった。
姉のエイミーとともに家族を支えるギルバートはこの町からほとんど出たことがない。

ギルバートは田舎町の地味な暮らしを送る青年で、のちのジョニー・デップの主演作、「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジャック・スパロウや「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」と同じ人物とは思えない。

華奢な体、長い手足で予測つかない行動のアーニーがすばらしい。 レオナルド・ディカプリオって最初からすごかったんだなあ。 最近作の「レヴェナント 蘇えりし者」でがっつり肉つけた顔と体で、髭ボーボーで、クマに襲われて半殺しの目に遭って、復讐に燃えて土の中から這い出る「ヒュー・グラス」と同じ俳優とはとても思えない。 「レヴェナント」も好きな映画だけれども。

若いころのジュリエット・ルイスが演じる、旅人のベッキーもすばらしい!
この作品で彼女のファンになった。  
、、最近のお姿はこのころとはずいぶん変わったけども。。

                         ・

ジョニー・デップ、レオナルド・ディカプリオの最初で最後(?)の共演の大傑作「ギルバート・グレイプ」だが、実をいうと僕はスクリーンで観たことがない。
そんな機会はいつかあるのだろうか、、、
、、、 と思っていたら、それが来年上映されるんですね。

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「午前十時の映画祭 8」で来年2月にデジタル上映される。 
朝10時の上映だけれど、料金一律¥1100はうれしい。

      http://asa10.eiga.com

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なんと、「ペーパームーン」 、「バクダット・カフェ」もやるんだなあ。 

何度も観てる映画だけれどもね、これは楽しみです。

 

2017年9月 1日 (金)

 デッドマン

映画 「 デッドマン 」  1995年アメリカ映画 

監督・脚本 : ジム・ジャームッシュ

音楽:ニールヤング

この映画は公開当時、日比谷シャンテで2回観た。
いまでも年に3回くらい観ている。

主演のジョニー・デップが銃口を向けたDVDジャケットのせいですかね、レンタル店のTSUTAYAとかだとこの作品は「アクション」の棚にあったりする。
西部劇の世界だけど、アクション映画と呼べるほどの激しい銃撃戦のシーンはほとんどないので、ちょっと違和感。

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19世紀後半のアメリカ大陸、東部の街からやってきた青年紳士ウィリアム・ブレイクが心臓の脇に銃弾を受けたまま西へ西へと逃亡の旅を続けるロードムービー。

彼を助けるインテリのインディアン「ノーボディ(誰でもない)」は、ブレイクの名前を知ると、何故だか何十年も前に死んだイギリスの詩人ウィリアム・ブレイク本人だと思い込んでしまう。「デッドマンだ!」。 

この監督の映画にしては、少々残酷なシーンもあるにはあるけれども、白黒の映像がとにかく綺麗です。 

徐々に弱って身体で「デッドマン」に近づきながら、やがて海に辿り着く。
朦朧とした意識の最期の旅はひとり小舟に乗って太平洋を漂う。

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この映画「デッドマン」で何よりも好きなのが、実は音楽。

ニール・ヤングの全編ライブ。 ほとんどエレキギター1本の即興演奏(歌ってない)。
この映画全体がニール・ヤングのギターのPVだといってもいいくらい。
正直ものすごく上手い!、というほどではないと思うけど、早すぎない旅に寄り添うような、重く歪んだ、心にどーんと残るちょっと忘れられない演奏。
最初、劇場で観たときに「こんな映画音楽もあるんだ!」と感動したのをいまでも覚えている。 サントラCDが出たらすぐに買いました。
 素晴らしい。

「デッドマン」はジョニー・デップ出演作ではもっとも好きな作品のひとつだ。

2017年8月14日 (月)

 WILD

映画 「 WILD わたしの中の獣 」   2016年ドイツ映画

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この映画は2月くらいに渋谷のUPLINKで観たものです。
DVD化されているので、興味あるかたは、ぜひ、、、あまり強くオススメはしませんが。。

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野生のオオカミに強く惹かれて、捕えて自宅に連れ込み監禁して、やがて心を通わせ、愛を交わすその先は、、、 

乱暴は言い方をすると「獣姦」を美しく映画にするとこうなりました、みたいな作品だ。

主人公が野生、獣になっていく過程がもうちょっと丁寧に描かれていたらよかったかな、と思う。
ストーリーの展開が唐突すぎます。

この映画のオオカミはCGなどはいっさいなく、本物のオオカミだそうだ、、!?

、、いくら調教してあるオオカミとはいえ、演じる俳優も命がけだったろう。
 でも「本物」じゃなければ、僕も観にいかなかったけど。

                          ・

主演の女優はどこかで観たなあ、と思ったら同時期に公開されたドイツ映画「アイヒマンを追え!」で同性愛のハニートラップを仕掛ける、女装した男の役、で出てた女優だった。
鼻の脇にでかいホクロがあって美人すぎないところがいいです。

あと、この映画はDVDでも、食事をしながら観るのは止しといたほうがいいです。

 ベルリン・天使の詩




映画 「 ベルリン・天使の詩 」  1987年 ドイツ映画

監督: ヴィム・ヴェンダース  

ベルリン、、白状すると1997年くらいまで、僕はこの都市は東西ドイツの国境線上にあるものだと思ってました。 「ベルリンの壁崩壊」がたしか1989年だから、なんという世間知らずだったのだろう、と思うのだけれど。 実際にはベルリンは当時の東ドイツのど真ん中にある都市で、高い壁にぐるりと囲まれた「西ベルリン」は西ドイツの「飛び地」、、というのもちょっと誤解があり、正確にはアメリカ、イギリス、フランスの占領地。 公式には西ドイツでもなかったのだと。 そんなことを97年にたまたま飛行機で隣に座った日本在住のドイツ人から教わりました。 それまでなんて無知だったんだろう、といまでも思うけれど。。

                           ・

ヴィム・ヴェンダース監督の「ベルリン・天使の詩」。2006年のデジタルニューマスター版がブックオフで安く出てたんで購入しちゃいました。

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これは1987年公開映画なので、「ベルリンの壁崩壊」の2年前になる。

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ベルリンの天使は白い衣装の中性的な容姿の若者でも、可愛い幼児でもなく黒いコートを着たおっさんだった。。 ブルーノ・ガンツが演じている。

で、そのベルリンの街を見守る「おっさん天使・ダミエル」はサーカスで空中ブランコを舞う女性マリオンに恋をしてしまう。 マリオンに強く惹かれるダミエルは地上に降り人間になることを決意する。 ダミエルが人間になるまで、西ベルリンに生きる人々をモノクロの映像で映し続ける。 終盤ダミエルが翼を捨て人間になると映像はカラーに変わる。

映画の大部分がモノクロで「思わず息を呑む映像美、詩情溢れるメルヘン、そして哲学的思索が凝縮された」、、、つまり刺激的な映画が好きな人には「退屈」だということです。

                            ・

この映画のクライマックスは最終盤の「謎の長台詞」。 人間になったダミエルとマリオンがバーのカウンターで語りあっている。 横顔の画面からマリオンのカメラ目線ドアップの映像になってあの長~い台詞が始まる。

「、、、新月は決断の時。先の運命がわからなくても、決断する時。決断するの。私達、今がその時よ。私達の決断は、この街の、すべての世界の決断なの。 今、私達ふたりはふたり以上の何か、、、 私達は広場にいる。 無数の人々が広場にいる。私達と同じ願いの人々。すべてが私達次第。 私は決心している。 今しか時はないわ。 、、、、」

一部を紹介しましたこの長い台詞。映画を観ている観客に向かって言ってるようなこれは何なのか、ずっとわかんなかった。
 
昨年、「町山智浩の映画塾」を視聴して、あっと思った。こんな内容だった、と思う。
「、、、途中から、観客席に向かって語りかけているこの長台詞。 これは明らかに『壁を壊しましょう』と言っているんです。扇動している。この映画をどのくらいの東側の人々が観たのか、それはわかりません。でも実際に2年後にベルリンを分断していた壁は崩壊した、みんなで動いたらあっけなく壊せたんです。」

なんか目から鱗、であります。 
それをわかったうえで観かえすと、ラストシーンの「壁」に向かって歩き出す老人の「乗船完了!」の最後のセリフもより深い意味をもったものに聞こえてきます。

 ひなぎく

映画 「 ひなぎく 」  1966年/チェコスロバキア/75分

監督 : ヴェラ・ヒティロヴァー (1929~2014)

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しばらく前ですが5月6日にTAMA映画フォーラムの特別上映会で観てきました。

いまでは入手困難なカルト雑誌「夜想」の35号「チェコの魔術的芸術」でこの作品の存在は10年くらい前から知っていたのだが、なかなか観る機会がなかった。

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たまたま新百合ヶ丘のアルテリオ映像館でこのチラシをみかけなかったら未だに観ていないだろうな。

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ファッション関係の有名人がこぞってこの作品を絶賛して「60年代チェコ・ヌーヴェルヴァーグの傑作」「ガールズ・ムービーの決定版」、、お洒落な女の子映画だと思ってしまいそうだけど、けっこうとんでもない映画でした。
これを観に来た着飾った女の子たちは、わけわかんない展開に茫然としてしまったのではないだろうか。 だって僕がそうだから。

姉妹と偽る「マリエ1」と「マリエ2」の2人のバカ女が男を騙して、嘘泣きしてとんずらしたり、好き勝手でハチャメチャな行動を1時間以上繰り返してるバカ映画だよ。

観ているうちに画面全体をハサミで切り刻んでこま切れになったり、モノクロから唐突にどぎついカラーリングになったり、実験的な効果音とかありとあらゆる映画手法を使うこの映画が50年前のチェコスロバキアで制作されたということに、後から衝撃をうけてしまった。

実際この女性監督は当時の政府に睨まれて、数年間活動停止だった。

とても「ガーリーでカワイイ映画」ではないだろ、と。
爆撃のシーンとかたぶん、皮肉や反体制の隠れた意味があるんだろうから、もう一度みたら僕の印象も変わるかもしれない。
なかなかその機会がないけれども。。




2017年5月 5日 (金)

BLUE IN THE FACE

BLUE IN THE FACE   ブルー・イン・ザ・フェイス   1995年作品

「ブルー・イン・ザ・フェイス」。 この映画は「スモーク」の続編というより姉妹編、最近よく使ういいかただと「スピンオフ」作品といえる。

「スモーク」の最大の功績は「ブルー・イン・ザ・フェイス」を生み出したことだ。

「スモーク」のオーギー・レンの煙草屋という設定と可能なキャストをそのまま使い、即興の演出と演技と台詞で2本目の映画を作ってしまった。

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この映画、DVD化されてはいるものの、あまり流通されてないみたいでレンタル店にはほぼ取扱いが無い。 ネット通販で見つけても、高額だったりするのだが、たまたま安く出ていた時があって、購入しちゃいました。 俺は持ってるぜ。

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DVDのケース裏面にこの映画の内容紹介があるけど「大好きなたまり場の煙草屋を守るために、隣人たちが立ち上がる」というのは嘘です。
「隣人たち」は誰も立ち上がんない、です。

「顔が真っ青になるほど(Blue in the Face)、喋り続ける」というコンセプトのとおり、さまざまな有名、無名の人々が10分のテイクのなかで好き勝手なことを喋っている、それだけの1時間半だ。

ブルックリンの街や人々への想いのたけを。 
ロサンゼルスに移転してしまったブルックリン・ドジャースへの哀切の想いについて。
ベルギー・ワッフルについて (ベルギー・ワッフルのブームはこの映画からだという説があるがホントか?)

煙草をやめる決心をした」常連客のボブ(映画監督のジム・ジャームッシュ)は人生最後の1本を味わいにやってくる。
かつてのブルックリン・ドジャースの偉大なプレイヤー、黒人初の大リーガー、ジャッキー・ロビンソンの幽霊(?)が現れ、あのマドンナは「踊る電報配達の女」としてほんの一瞬、数十秒の出演だ。

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この映画、好きなんだけど、一か所だけ気にいらないシーンがある。

それは「最後の1本」を吸い終えたボブ(ジム・ジャームッシュ)がその吸殻を灰皿に落とすところ。 煙草を高く掲げて「東京上空500m、、!」といってボトリと落とす。 
、、、つまり吸殻をB29の東京大空襲に見立てているんだな。 このシーンは残念。
もともとシナリオにあった台詞なのか、たぶんジム・ジャームッシュの即興の可能性が高い。
この人親日家だと思っていたのだが。
ていうか、この映画「日米合作」となっていて日本人スタッフもけっこう参加してて、よくこれでOKだったなあ、と思う。

そんなわけで映画「Blue in the Face」には満点を付けられずにいる。

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 ブルックリン・ドジャースについて

僕が「国民栄誉賞あげたい人No.1」の野茂英雄氏がかつて在籍した「ロサンゼルス・ドジャース」は1950年代までは本拠地がNYブルックリンでした。
というか「Dodgers(よける人)」というチーム名がそもそも「ブルックリンは人が多すぎて、
よけながらでないと歩けない」からついた名前だ。
ついでに小学生のころ誰もが、遊んだ「ドッヂボール」もボールをよける、という意味で同じ語源ですね。

2017年4月 9日 (日)

 Smoke デジタルリマスター版

映画 「 Smoke デジタルリマスター版 」  1995年日米合作映画

監督:ウェイン・ワン  脚本:ポール・オースター

2017年2月25日 新百合ヶ丘 アルテリオ映像館にて

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                 www.smoke-movie.com


不朽の名作「スモーク」ですよ。 公開されたのは1995年。
かれこれ22年くらい前の作品なのです。 
僕はたぶん、翌年の96年に今は無きミニシアター「関内アカデミー」で観ました。

それからビデオテープやDVDで繰り返し観て、台詞は字幕を読まなくても、ほとんど覚えているほどだ。

そして、この度の「デジタル・リマスター版」! すばらしい!

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↑ 左が今回の「デジタル・リマスター版」のパンフレット。
右が1995年の最初の公開時のパンフレット。恵比寿ガーデンシネマの「1周年記念上映作品」だった。

1990年 ニューヨーク・ブルックリン。
14年間、同じ時間同じ場所で1日も休まず写真を撮り続けるタバコ屋の店主、オーギー・レン(ハーヴェイ・カイテル)。
最愛の妻を銀行強盗の巻き添えで亡くしてから書けなくなった作家、ポール・ベンジャミン(ウィリアム・ハート)。
自分と母を捨てた父親を探す家出少年、ラシード。

この3人を軸に物語が展開されていきます。

見どころはいくつもあるんだけど、オーギーがポールに14年間撮り続けた街角の写真を見せるシーンがとくに好きだ。

 朝の8時、7番街と3丁目の角、 毎朝同じ時間、同じ場所でオーギーは写真を撮る。

「 俺の街角だ  世界の小さな片隅にすぎんが毎日いろいろなことが起きる

俺の街角の記録だ  同じようで一枚一枚全部違う 

よく晴れた朝 曇った朝 夏の日差し 秋の日差し  ウィークデー 週末

厚いコートの季節 Tシャツと短パンの季節  同じ顔 違った顔

新しい顔が常連になり 古い顔が消えていく

地球は太陽を廻り 太陽光線は毎日違う角度で射す  」

、、、、この詩のようなオーギーの台詞、大好きだ。

そしてポールは写真の1枚に亡くした自分の妻を見つける、、、

「 これを見ろ 見ろよ エレンだ 」

「 そうだ 出勤の途中だ 他にも数枚ある 」

、、そこでポールは肩を震わせ泣き崩れる、、

何度観ても、泣きそうになる名場面だ。

それよりも、「14年間、同じ街角、同じ時間の定点観測」という設定にやたら惹かれた。
どんなに単純なことの繰り返しでも、積み重ねればアートになるんだなあ、とか。

映画のラスト。 オーギーがポールに語る「クリスマスストーリー」。
最初はハーヴェイ・カイテルの見事な語りだけでストーリーを完結させて、さらにトム・ウェイツのひしゃげた歌声の「Inocent when you dream」をバックに、オーギーが語ったストーリーがモノクローム映像で流れるエンディングはいつまでも忘れられない。
たぶん、いままでに観た映画のなかでも,もっとも心に残るエンディングだ。

2時間足らずの上映時間に幾人もの人生を織り交ぜ、無駄なシーンも台詞も一切なく、絶妙に構築された傑作、「Smoke」。

 

 エゴン・シーレ 死と乙女 

映画 「 エゴン・シーレ 死と乙女 」  2016年/オーストリア・ルクセンブルク作品

2017年3月25日 新百合ヶ丘 川崎アートセンター アルテリオ映像館にて

                     www.egonschiele-movie.com

画家エゴン・シーレは20数年来、もっとも好きな作家のひとりであるけれども、日本では1991年に渋谷Bunkamuraで「エゴン・シーレ展」以来まとまった数の作品を観る機会は未だない。この時の展覧会は美術館所蔵の作品でなく、すべてウィーンのレオポルドさんという世界的なシーレコレクターの所有する作品だったのだけれど、何点かの油彩の代表作と、あとは水彩や鉛筆、チョークのドローイングが多かったけど、120点(!)の圧巻の展示だった。
ご覧になった人いるかな?

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これは、昨年ヴィレッジ・ヴァンガードで見つけて買ったシーレのドローイング・水彩作品集。
ちょっと値が張ったけど、400点以上の作品が年代順にオールカラーで収録されていて、年ごとに日本語の解説もあって内容充実な一冊。 
、、でももうちょっと高くてもいいから、サイズが大きかったらもっとよかったかな。

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人差し指と中指、薬指と小指をくっつけて、そのあいだを大きく広げる。 なんでこんな不自然な手のポーズにしたのかいまだによくわかんないけど。

                            ・

1890年に生まれ(ゴッホの没年)、15歳のときに父親が梅毒で精神を病んだ末に死去。
16歳でウィーン美術アカデミーに入学。アドルフ・ヒトラーは翌年、同アカデミーを不合格。
3年で退学。仲間と新芸術家集団を結成。 グスタフ・クリムトに才能を認めらる。
1912年、少女誘拐の嫌疑で逮捕、24日間の拘留。
1918年、3月に「ウィーン分離派展」で大成功を収めるも、その年の10月にスペイン風邪で死去。 妊娠6か月の妻も同じ病で死去。 

ざっくり書くとこのように濃く、激しい28年の生涯。
事実だけで充分映画向きなんである。

ちなみに「スペイン風邪」は1918年~1919年に世界的に大流行した、人類史上初のインフルエンザらしいです。 アメリカが発生源なのに「スペイン風邪」なのは情報源がスペインだとか、この病の流行で、第一次大戦の終結が早まったとか。

                            ・

エゴン・シーレを描いた映画はこれまでに何本か作られたらしい、観る機会がなかったが。
実現しなかったが、デヴィッド・ボウイがシーレを演じる企画もあった。

で、映画「エゴン・シーレ 死と乙女」。2016年、シーレ映画の最新作。

1月に渋谷のBunkamura ル・シネマで公開されたけど3月から新百合で上映されるのがわかってたので、2か月待ってました。

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映画冒頭で1918年の瀕死のシーレ。妹のゲルティが見舞いにくるが、シーレの妻はすでに亡くなっている。 そこから1910年、8年遡って回想の形でシーレと妹のゲルティ、モデルで愛人のヴァリー、妻になったエディットの人生を1918年まで描いていく。

事前にシーレの生涯と作品を知っていたというのもあるかもしれないが、ほぼ事実どおりのストーリーがすごく面白かった。

なにしろ、身勝手なシーレに振り回されても、どこまでも献身的にモデルだけでなく、マネージャー的に画商への作品の売り込みまでして、つくしていながらシーレに裏切られるヴァリーが可哀そうすぎるわ。
タイトルにもなっている「死と乙女」のモデルはヴァリー。 
映画では彼女の訃報を受け取ったシーレは絵のタイトルを「男と乙女」から「死と乙女」に書き換える。

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このヴァリーを演じた女優。 
誰かに似てるなー、と思っていたんだけど、、わかった!
Superfly の越智志帆さんでした。

                            ・

映画を観て初めて知ったこと。 シーレの妹のゲルトルーデ(愛称ゲルティ)は1981年まで87年の生涯だった。 
美術家、作家、音楽家、多くの才能を輩出した、いわゆる「ウィーン世紀末」の関係者が、自分と同じ時間を生きていたというのは、不思議な感じだ。

                            ・

グスタフ・クリムトの登場シーンもあった。 クリムトというとなんとなくずっと「身体の大きい人」というイメージだったのだけれど、「エゴン・シーレ 死と乙女」に出てくるクリムトはそれまでの、例えば映画「黄金のアデーレ 名画の帰還」のクリムトとかより、ずっとしょぼい、、小さな男だった。 シーレの才能に嫉妬する師匠なのだろうか。。

2017年4月 2日 (日)

 レオナルド・ダ・ヴィンチ 美と知の迷宮

映画 「レオナルド・ダ・ヴィンチ 美と知の迷宮」

 2015年/ イタリア映画 / 82分

2017年3月12日(日) 川崎アートセンター アルテリオ映像館にて

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   www.davinci-in-labyrinth.com

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題名のとおり、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品についてのドキュメンタリー作品です。

おもに「円熟期」とされるミラノ時代の作品を中心に解説、解析していきながら、突如、俳優がルネサンス期の衣装を纏って出現して、レオナルドのパトロンや作品のモデル、弟子になりきって語り出す。

とくに「白貂を抱く貴婦人」のモデルとされるチェチリア・ガッレラーニという女性がまるで絵から抜け出たかのような衣装、髪型、顔もそっくりな女優が語りだしたときには僕的にはいちばんグッときた。

「白貂を抱く貴婦人」。この絵にはちょっと思い入れがあって、もう10年くらい前だけどこの作品がポーランドの美術館から横浜美術館に来たときに、この絵を繰り返し観るためだけに、横浜美術館の年間会員になって(たしか会員費¥6000)15回くらい観に行った記憶がある。

映画ではダヴィンチ本人は出てこなかった。もし、ダヴィンチが出てきたら「左利き」を演じるかどうか、ちょっと興味があったんだけど。

素行の悪さに「サライ (小悪魔)」と呼ばれた弟子が現れ、晩年の様子を喋り出したのは面白かった。

ナレーションや俳優達の語りはイタリア語で字幕ではなく、すべて日本語吹き替えだった。

劇映画だと俳優の実際の声で鑑賞したいという好みもあるだろうけど、このドキュメンタリーに関しては、レオナルドとその他同時代の作家の作品の精微な画像を字幕で邪魔されることがなかったので、吹き替えで良かったように思える。

 

2017年3月20日 (月)

真白の恋

映画 「 真白の恋 」 

監督:坂本欣弘  原作・脚本:北川亜矢子

出演: 佐藤みゆき 岩井堂聖子 福地祐介 山口詩史 杉浦文紀 及川奈央 長谷川初範

2017年2月26日 と 3月10日  渋谷UPLINKにて

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                                       www.mashironokoi.com

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いい映画です。 もう全力で誰にでもおすすめしたいぞ。 僕は2回観た。

いまのところ、都内と神奈川県内では渋谷のアップリンクでしか上映してないです。
横浜のジャック&ベティでは6月からの上映です。
ぜひとも新百合ヶ丘の川崎市アートセンターでもやってほしくて、その熱い要望を書いて、「ご意見箱」に投書してますが。。

富山在住の坂本欣弘監督の「故郷の富山を舞台に、家族をテーマにした映画をつくりたい」という一心で自主映画としてスタートした今作。 
脚本家の北川亜矢子のオリジナル作品。

主演は前項で紹介した映画「貌斬り」にも出演していた佐藤みゆき。
これが初主演映画。

 
ストーリーは富山で家族と暮らす、軽度の知的障害者、渋谷真白の初恋と彼女の成長。

オール富山ロケの撮影期間はほぼ11日間しかなかったそうです。
撮影から2年を経ての東京公開。

脚本も演出も演技もそれから画面に映し出される風景もすべて素晴らしく、無駄が一切ない。
主人公をとりまく応援する人、ただただ心配する家族、誰の気持ちも否定できない。初恋の相手とは何事もなく別れて、でも不思議と清々しい余韻。
そして画面いっぱいの立山連峰と朝日の美しさと。

ミニシアターはこういう作品をもっと推してほしいなあ、と思う。

アップリンクでは公開1か月を過ぎて尚、上映中。 ぜひ観てください。

                        ・

僕が1度目に観にいった2月26日は上映後に監督と出演者のトークがあった。

佐藤みゆきさんは「真白」な衣装で登場。

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僕は初めて、映画のトークショーで女優さんに「質問」をした。 役作りについて。

この映画にはパンフレットが作られていないのが、ちょっと残念。

いつも持ってるクロッキー帳にサインをしてもらった。 
映画のチラシでもよかったかな、とあとで思ったけど。

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3月半ばくらいになって、映画のサントラCDが発売されました。
こちらは、上映館と通販での販売。

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主題歌「真白の恋」が絶賛リピート再生中!

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